「料理が美味しいだけでは続かない」──前進し続ける経営者が語る、飲⾷店経営で本当に⼤切なこと

出店者・撤退者インタビュー

「中華を変えたいと思ったんです」
そう語るのは、中華料理店を4店舗展開する、小野大樹さん。

⾃動⾞メーカーの営業職から飲食業界へ転身し、中華料理の世界に魅了され、独立。現在は複数の店舗を運営しながら、新たな出店にも挑戦し続けており、なんと3月12日には池袋で新たな店舗「文山包」をオープンしたばかり。

その原動力は、単なる店舗展開ではなく、業界そのものへの問題意識でした。
本記事では、小野さんのこれまでの歩みを辿りながら、出店時のリアルな課題、物件選びの考え方、そして、経営者として最も大切にしていることについてお話を伺いました。

〈取材者=橋本帆栞(店舗高値買取センター 総務部)〉


偶然から始まった中華との出会い

橋本
橋本

本日はお忙しい中、ありがとうございます。
早速ですが、まずは簡単に、小野さんのご経歴を教えていただけますか?

小野さん
小野さん

はい。小野大樹といいます。
経歴としては、まず最初に埼玉のトヨタ自動車に⼊社しまして、1年間ほど働いていたのですが、それ以前にアルバイトでやっていた飲食店でまた働きたいな、と思って。
それで今度は社員として、居酒屋とかバーテンダーとか、いろいろとやった後に中華料理の世界に入って、勉強して、ハマっていったって感じですね。

小野さん
小野さん

それで 3 年前に町中華のような形のお店を出して、2店舗経営してから、2024年に吉祥寺の「sinensis(シネンシス)」を開店して、今年の3月に池袋の「文山包」が開店予定(インタビュー当時は開店前)です。
そんな感じでしょうか。

橋本
橋本

はい。とても多彩なご経歴だなと感じましたが、その中でも特に中華料理を選ばれた理由やきっかけはありますでしょうか?

小野さん
小野さん

最初は、特に「中華がやりたい!」と思っていたわけではなく、料理を勉強しようと思って応募した先が偶然、中華料理屋さんで。
ただ、僕のキャリアの中でも幸運な部分になるんですが、今ではミシュランのビブグルマンにも名前が載っている、駒込の豊栄という店の進藤さんという方が僕の師匠にあたります。その方に中華を教えてもらったことが、僕が中華にハマるきっかけでしたね。本当に料理がおいしかったので。
それまでは何も知らなかったんですけど、「ああ中華ってこんなにうまいんだ、これは極めよう」って。

橋本
橋本

それで中華を選ばれたんですね。

小野さんの飲食業界への再挑戦は、「中華をやりたい」という明確な意思からではなく、偶然の選択から始まっていました。
しかし、師匠との出会いと中華料理そのものの魅力が、その後のキャリアを大きく方向づけたと小野さんは語ります。


「中華業界を変えたい」──独⽴を決めた理由

橋本
橋本

現在はご自身で複数の店舗を運営されているとのことですが、
「独立して自分の店を出そう」と思われたきっかけや経緯について教えてもらえますか?

小野さん
小野さん

⾃分の企業の理念にもなっている部分なんですけれど、料理⼈をやるにあたって、中華業界のボトルネックのようなものをずっと感じていて。それを変えたいと思ったからですね。

小野さん
小野さん

いわゆる「3K」ではないですけれど、中華料理には「暗い」とか「汚い」とか「きつい」というような、嫌な部分があります。
もちろん仕事なので、ある程度きつい部分があるのは仕⽅がないものです。
でも、これはトヨタ時代の教えなのですが、「暗い」よりは「明るい」方がいいし、「汚い」よりは「綺麗」な方がいいし、「ダサい」よりは「カッコいい」方がいいし、「雑」よりは「丁寧」な方がいい。
そう思った時に、ここを変えていかないと中華業界に未来はないなと思ったんです。

小野さん
小野さん

ただ、当時もいろいろ試してはみたものの、周りは「そういうものだろう」っていう感じで、あまり共感
を得られなくて。
これはもう⾃分が先頭に⽴って変えていくしかないかな、と。それが一番の理由でしたね。

橋本
橋本

それで自身のお店をやろうと思われたと。

小野さん
小野さん

そうですね。自分の思いが届かない場所でずっと頑張るのもきつかったので。
それなら自分で自由にできる場所を作った方がいいじゃないですか。

独立の背景にあったのは、待遇や環境といった業界構造への課題意識でした。
既存の環境の中で改善を試みても変わらない──その実感が、「自分で変える」という決断につながっています。

単なるキャリアアップではなく、“業界の将来を変えたい”という思いを持って独⽴を決められた点や、その⾔葉に込められた熱量が印象的でした。


資金200万円からのスタート──最初の出店で直面した現実

橋本
橋本

では、実際に出店するにあたって大変だったことやつまづいたこと、外せなかった条件はありましたか?

小野さん
小野さん

お金に関しての面ですね。
これは経営のフェーズにもよると思うんですが、僕の独立にあたっては、最初、元手が200万もなかったんです。

小野さん
小野さん

あとは集客について。最初は、まずお客さんを掴むところから始めないといけない。
全く知られていない状態から来店していただいたり、リピーターのお客さんになっていただいたりするのが、当時はすごく大変でした。
2 店舗目くらいまではそういった点で苦労しましたかね。

小野さん
小野さん

今は出店時に立地やエリアとか、マーケティングについても考えるようになったので、集客についてはうまくいくことも増えたんですけれどね。
それこそ、今回池袋に出店を決めたのも、エリアを見て判断したっていう部分は強いですかね。
夜はもちろん、ランチタイムからカフェタイムにかけてもずっと人で溢れかえっていて、っていうのは⼤きな決め手でした。

橋本
橋本

なるほど。中華料理のお店だと重飲食というのもあって、物件選びの際にそもそも物件が絞られるということもあったのでしょうか?

小野さん
小野さん

そうですね。中華だけじゃなく重飲食全般は嫌がるところも多いので、その部分の大変さはあったかなと思います。

理想とは裏腹に、独⽴直後に直⾯するのは資⾦と集客という現実的な課題です。
特に、認知のない状態からのスタートでは、「どうやって来店してもらうか」が⼤きな壁となります。

出店はゴールではなく、むしろ「ゼロから顧客を集めていく」という新たなフェーズの始まりであることがよく分かります。


物件選びの考え⽅はどう変わったか──家賃重視から“エリア戦略”へ

橋本
橋本

現在は物件選びではエリアをかなり重視されているとのことですが、具体的にはどういったことを考えて出店されていますか?

小野さん
小野さん

これはさっきも少しお話ししましたが、今と当初とでは結構考え方が違っていて。
前は家賃をかなり重視していて、重飲食ができて、ある程度席数も取れて、なおかつ安いところって考えだったんですけど、今は多少家賃が高くても、エリアや人通りとか、あとは自分の業態との相性っていう面を重視することが多いかなと思います。
乗降者数とか駅の強さみたいなものはもちろん見るんですけど、自分の業態やブランドとの相性とか、お客様の属性とかもけっこう気にしてますね。

橋本
橋本

いくら家賃が低くても、お客さんが来なければ売り上げが立たないわけですからね。バランスの難しい点かと思いますが……。

小野さん
小野さん

そうですね。最初の頃はお金がないですから、すごくいい場所にお店を出したとしても、固定費が高いと死んじゃうので。
本当にこれは経営がどういうフェーズなのかにもよるかな、というところですね。

初期は「低コストで出せること」を優先していた物件選びも、経験や出店を重ねる中で変化していきます。現在は、家賃だけでなく、エリアの特性や客層、業態との相性といった“売上をつくる視点”が重視されています。

経営のフェーズによって最適な判断基準が変わるという点は、多くの出店者にとって重要な⽰唆と⾔えるでしょう。


店舗経営で最も重要なことは「現場を見ること」

橋本
橋本

実際に飲食店経営を続けていくにあたって必要なことや、反対に「こうだと危ない」という点はあり
ますでしょうか?

小野さん
小野さん

いろいろあるんでしょうけど、僕としては1つしかなくて。オーナーがちゃんと現場を見続けるという点ですね。僕はこれが⼀番大事だと思っています。
だから、反対に「こうだと危ない」っていうのは、オーナーが現場以外のことにかかりきりになってしまうことですかね。

小野さん
小野さん

もちろん「物理的に⾏けない」っていう状況は仕⽅ないと思うんですよ。1ヶ⽉って30⽇しかないの
で、5〜6店舗くらいやってる場合、各店舗に週一くらいのペースでしか⾏けないじゃないですか。それは仕⽅ないと思います。
でも、2 店舗とかだと単純計算で⽉に15⽇くらい⾏ける状態なわけじゃないですか。それで全然現場に来ないっていうのは、やばいのかなって思います。

橋本
橋本

経営者自身が現場をしっかり見て、把握しておくということが⼤切なんですね。
実際、見ていないとお店のこういう部分が崩れてしまう、というようなことはあるのでしょうか?

小野さん
小野さん

それはもう、全部じゃないですかね。
空調一つ、ライティング一つから、料理や接客、水を注ぎに行くタイミングについても、僕は基本全部⾒るようにしてて。一つ一つはきちんとできていたとしても、なんか空気感が悪いなって思ったらそれも伝えるようにしています。
⾃分の望むレストラン像みたいなものをしっかりスタッフにも伝えて、共有して作り上げていくっていうのが、やっぱり重要なのかなと思いますね。

複数店舗を展開する中でも、最も重要だと語られたのは「オーナーが現場を⾒続けること」でした。
設備や接客といった個別の要素だけでなく、店舗全体の空気感まで含めて把握することが、品質の維持につながります。

店舗数が増えるほど疎かになりがちな部分だからこそ、意識的に向き合う必要があるポイントです。


ブランドを育てるという考え方──拡大よりも大切なもの

橋本
橋本

今後について、目標や、やろうとしていることなどはありますでしょうか。

小野さん
小野さん

今はやっぱり池袋の店舗の開店と、それから7⽉にも立川でお店のオープンがありますので、目の前のそれを目指してこなしていくのが第一かな、と思います。
年商がいくら、とかも考えないわけではないんですけれど、まずはブランドを⼤切に育てていくことによって、それがお客さんへの認知の拡大であったり、従業員が潤うことに還元されて、それが結果的に売上とかに繋がる、という形で、いい意味で拡大していくのが望ましいのかなって。
なので、そのためにもまずは、目の前のことに丁寧に取り組んでいくのが大事なのかなと。

橋本
橋本

なるほど。素晴らしい目標だと思います。

今後の目標については、売上や規模の拡大という視点だけではなく、「ブランドをどう育てるか」という視点が語られました。

数字に囚われるのではなく、目の前の店舗を丁寧に運営することが、結果として認知や売上の拡大につながる。
短期的な成果ではなく、積み重ねによる成長を重視する姿勢には、業界の将来を見据える信念がこもっていました。


弊社・店舗高値買取センターとの関わり

橋本
橋本

弊社・店舗高値買取センターとの繋がりや、出店・撤退支援の取り組みについてどう思われるかか、教えていただけますか?

小野さん
小野さん

代表の佐藤さんがうちの店にに来て下ったことがあるんです。それに多分、年齢も同年代くらいなので、やっぱり少し親近感がありますかね(笑)。

小野さん
小野さん

やっぱり僕らにとっても、不動産関係はとても大事な繋がりになりますので。出店や撤退にあたって、飲食店に特化してサポートしていただけるのはありがたい取り組みだと思います。
飲⾷業界への関わり方の角度は違えど、お互いに応援していけたらなと思います。


これから出店する人へ──「料理ができる」だけでは足りない理由

橋本
橋本

最後に、これから出店を考えられている方にアドバイスなどをお願いします。

小野さん
小野さん

アドバイスってほどじゃないのかもしれないですが、もし自分で開業するなら、飲食店のマネージャーとかの経験があった方がいいのかな、とは思いますかね。
お⾦がたくさんあってフランチャイズを展開していくとかなら違うのかな、と思いますが、「自分の料理はおいしいから⼤丈夫だろう」って気持ちで開業してしまうと、経営とか、マーケティングとか、後に待ち受けるものはもっと複雑なものなので。
事業を拡大したとしても、1店舗目の売り上げだって同じように気にしていかないといけないわけですし、出店の前にそこは真剣に考えたほうがいいかな、とは思います。

橋本
橋本

お忙しい中、貴重なお時間をいただきありがとうございました!

最後に語られたのは、これから開業する人への現実的なアドバイスでした。
料理の技術だけでなく、マネジメントや経営の視点が不可欠であるという指摘は、多くの出店者にとって重要な観点です。
「お店を続ける」という観点で準備をすることの大切さが、改めて強調されていました。


「現場を⾒ることが一番大事だと思っています」
⼩野さんの⾔葉はシンプルですが、その裏には、店舗運営の本質が詰まっています。
物件選び、出店戦略、集客、サービス、ブランドづくり──どれも重要な要素ですが、それらを支えるのは、日々の現場の積み重ねです。

資金や経験、環境によっても出店の形は変わります。
しかし、どのフェーズにおいても重要なことは、「自分の店をどうしたいのか」を考え続けることです。
出店はゴールではなく、スタート。
そしてその先にある運営こそが、店舗の価値を決めていきます。
これから出店を考える方にとって、本記事がその判断の一助となれば幸いです。


○店舗情報

文山包
東京都豊島区東池袋1-35-8
070-6523-9845
ランチ:11:30~15:00(ラストオーダー14:00)
ディナー:17:30~22:30(ラストオーダー21:30)

sinensis
東京都武蔵野市吉祥寺本町2-8-3
042-227-2142
ランチ:11:30~15:00(ラストオーダー14:00)
ディナー:17:30~22:30(ラストオーダー21:30)

POT

大泉店
東京都練馬区大泉町2-12-2
03-4400-8222
ランチ:11:30~15:00(ラストオーダー14:30)
ディナー:17:30~22:30(ラストオーダー22:00)

東久留米店
042-420-1533
東京都東久留米市東本町15-6
ランチ:11:30~15:00(ラストオーダー14:30)
ディナー:17:30~22:30(ラストオーダー22:00)


弊社、店舗高値買取センターは、飲食業に挑戦する皆様の
物件取得・出店・撤退を総合的にサポートしております。

まずはご相談からでも、下記のリンクよりお気軽にお問い合わせください!

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