「65歳まで勤められたけれど、そこまで続けるよりは好きなことをやろうと思った」
そう話すのは、製薬会社に長年勤めたのち59歳で退職し、調理師専門学校を経て日本酒居酒屋を開業した亀本裕之さん。
20代から趣味として料理の腕を磨き続け、板前としても活躍できる腕前と日本酒の専門知識を持っています。
弊社・店舗高値買取センターのサポートのもと物件を取得し、4/9の開店から約1ヶ月半。本記事では、亀本さんの開業に至るまでの道のりと、実際にお店を始めて感じたことについてお話を伺いました。
〈取材者=橋本帆栞(店舗高値買取センター 総務部)〉
定年前に退職、調理師専門学校へ。「第二の人生」の選択

本日はインタビューのご機会いただき、ありがとうございます。
まずは、自己紹介と、開業に至るまでの経緯を教えていただけますか。

亀本裕之といいます。
開店までの経緯としては、59歳で退職して、調理師の専門学校に1年半入りました。
そこを卒業したら飲食関係で働こうと思っていたんですが、60歳に近いということもあって、なかなか正社員としては雇ってもらえない。最初はどこかの飲食店で働きたいと思ったんですが、アルバイトぐらいしかないと分かって。
だったら自分でやりたいようにお店を出そうかな、ということで、開業することにしました。

それ以前はどんなお仕事をされていたんですか?

サラリーマンで、製薬会社に大学卒業からずっと勤めていました。
定年の65歳まで勤めることもできたんですが、そこまで続けるよりは、第二の人生として好きなことをやっていこうかな、と思って退職しました。
安定したキャリアを持ちながら、定年を前に自ら退職して新たな道へ踏み出した亀本さん。
「どうせやるなら好きなことを」という思いが、開業という決断の背景にありました。
「安定」よりも、「自分らしく働く」ことを選んだその姿勢は、同じように第二の人生を考えている方の背中を押してくれます。
20代から磨いてきた「趣味」が、開業の武器になった

もともと料理がお好きだったんですか?

そうですね。20代の頃から、趣味でずっとやっていたんです。
調理師の専門学校にも行きましたし、働いている時には「すしアカデミー」という学校にも通って、寿司も握れるようになりました。趣味といっても、かなりしっかりやっていた方だと思います。

そこまで本格的に料理にのめり込んだきっかけは何だったんでしょう。

食べるのが好きなのと、お酒も好きなので、美味しいものを食べながらお酒を飲みたいという気持ちがずっとあって。
あとは若い頃に営業をやっていて、接待でいいお店に行くことがあったんです。
そういう、いわゆる「本物の味」を食べて、どうにか自分で再現できないか? というところから始まって、だんだんのめり込んでいきました。気分転換にもなりましたし。

料理に対する勉強もたくさんされてきたんですね。

そうですね。
あとはワインのソムリエと同じように、「J.S.A. SAKE DIPLOMA」という、ソムリエ協会が出している、日本酒専門の資格があるんです。お店で出すからには、お客さんにちゃんとした説明ができるようにした方がお客さまも安心できるかなと思って、それと、唎酒師(ききさけし)という資格も、お店を開くにあたって取得しました。
とはいえ、お客さんの方がお酒にずっと詳しいこともありますけどね(笑)。
20代から積み上げてきた料理の腕前と、専門学校で得た知識、そして日本酒への深い造詣。亀本さんの場合、趣味で得たものの延長線上に開業があったとも言えます。
「好き」を長年かけて「武器」に育ててきたことが、開業につながっていました。
物件探しは意外とスムーズに。施工会社の決め手は「人との相性」だった

ここからは開業準備の話に移りますが、物件探しについてはいかがでしたか。

お店をやろうと思って探し始めて、比較的すぐ今の物件が見つかったんです。
駅から近くて、古い居抜き物件だったんですが、僕のやりたい飲食店としてはいいだろうということで。御社の佐藤さんに内見の際に相談したら、「ここは早めに押さえたほうがいい」ってアドバイスをいただいて。即決でしたね。
なので、そんなに時間はかかりませんでした。

何ヶ月も探される方もいると聞きますので、比較的スムーズに物件が見つかったんですね。
物件自体はどんな条件で探されていたんですか?

一人でやるお店で、カウンターで7~8席ぐらい、自分の好きな料理と日本酒を提供できればいいというイメージでした。
施工会社と相談して、自分が思ったような雰囲気のお店に仕上げることができたので満足しています。

それはよかったです。施工会社選びでは気をつけたことはありましたか。

話を聞いてみて、自分のカラーと合うかどうかで判断しました。
内容がよくても、コミュニケーションをとる上で、合わないなと感じるところは選ばなかったです。結局は人との相性だなと思いました。
物件探しは比較的スムーズに終わったという亀本さん。
施工会社の選定において亀本さんが重視したのは「人との相性」でした。
条件やスペックだけでなく、一緒にお店をつくる人間として信頼できるかどうか。
一貫した判断の軸を持つことが、納得のいくお店作りにつながっています。

まだ開店から2ヶ月弱(記事公開時点)。人気店になる前に行くなら、今が狙い目なのかも…?(橋本)
弊社・店舗高値買取センターとの関わり

弊社は、物件選びと契約の段階でお手伝いさせていただきましたが、どうでしたか?

そうですね、飲食店の開店は初めてだったもので、物件選びから契約に関しても、色々と相談させていただきました。
撤退時の支援もされているとのことで、閉店は……したくないんですけれども(笑)。
でも、今後何かがあった時も、真っ先に相談させていただければと思いますね。

ありがとうございます。そう言っていただけて嬉しいです。
初めての開業だからこそ、気軽に相談できる存在がいることの安心感は大きい。
出店時だけでなく、万が一の閉店時にも同じ窓口に頼れるという関係性は、長く経営を続けていく上での心強い支えになるのではないでしょうか。
開業してみて分かった、経営の現実

実際に開業されてみて、大変だったことはありますか?

経理や数字の管理ですね。
当然ながら出ていくお金もあって、料理を作って出してお金をいただければそれでいい、というわけにはいかないので。
あとはメニューの調整も。最初はメニューに寿司を入れていたんですが、どうしても仕入れたネタのロスが多く出てしまって。一度見直して、寿司はやめました。
経営については、開けてみないと分からないことが多かったです。

やっぱり、サラリーマンと経営者では、やることが全然違いますよね。

全然違います。サラリーマン時代は指示を受けて動くことが多かったですが、今は全部自分で考えて判断して。
でもそこが楽しいんです。朝10時ぐらいに来て、片付けが終わると11時頃になるので、本当に丸一日いて大変ですが、苦じゃないですね。自分のお店として思ったようにできるというのが、やっぱりいいです。
次に語られたのは、開業してみて初めて分かる経営の現実のお話でした。
数字の管理やメニューの見直しなど、現場でしか得られない学びが1ヶ月半の中にも詰まっていました。一方で「苦じゃない」という言葉が印象的です。好きなことを仕事にするということの強さが、そこに表れていました。
丁寧な仕事を、長く続けていくこと

実際に経営してみて、飲食店を経営していくにあたって大切だと思われたことなどはありますか?

ずばりこれです、と言えるほどではないんですが、私自身はお客様に満足してもらうために、丁寧な仕事をしようとは思っていますね。
ちゃんといいものを仕入れて、手間を惜しまず料理を作って、という部分をしっかりやろうと思っています。

なるほど。素敵だと思います。今後の目標などはありますか?

この年なのでお店を広げようとか、もう数店舗出そうとかは考えていなくて、とにかくこのお店を長く続けることですね。自分が健康で元気でいられる限り、なるべく長くやっていきたいと思っています。
「ずばりこれです、とは言えない」と前置きしながらも、亀本さんの言葉はぶれていません。
いい食材を仕入れ、手間を惜しまず作る。
シンプルですが、それを毎日続けることが飲食店経営の本質なのかもしれません。
拡大よりも継続を選んだその姿勢もまた、長年かけて自分の好きなことを飲食店という形で実現した亀本さんらしい答えでした。
これから開業を考えている方へ

これから飲食店を開業したいという方へ、アドバイスや何か一言などあればお願いします。

アドバイスというほど大層なことかは分かりませんが……。
最初は飲食業界に詳しい人や、アドバイスをもらえる人を多く持った方がいいと思います。いきなり始めると経理や仕入れで絶対つまずきますから。結局のところ、何かあった時に相談できる人をどれだけ持っているか、それが大事だと思います。

私自身、調理専門学校の開業支援講座で業界に詳しい方々と繋がれたことが助かりました。
あとは、施工会社や物件の仲介会社も含めて、関わる人との相性を大事にした方がいいと思います。内容がよくても、「なんか合わないな」というのは後々響いてきますから。
「相談できる人を持つこと」と「人との相性を大事にすること」。
亀本さんのアドバイスはシンプルですが、長年のサラリーマン経験と開業準備の過程で身をもって感じてきたことだからこそ、重みがあります。
飲食店開業を考えている方にとって、参考になる視点ではないでしょうか。
59歳での退職、専門学校への入学、そして開業。
亀本さんの歩みは、「いつからでも、好きなことで新しい人生を始められる」ということを教えてくれます。
準備を積み重ね、信頼できる人と出会い、自分らしいお店を作り上げた。その過程には、これから開業を考えている方のヒントが詰まっています。
本記事が、「飲食が好き!」という思いで出店を目指される方の一助となれば幸いです。
○店舗情報
日本酒と小料理 かめさん
〒156-0051
東京都世田谷区宮坂3-12-4 DOM経堂2階
小田急線「経堂」駅 徒歩2分
営業時間:18:00~22:00 (定休日:月・火曜日)
TEL:03-6413-6559
E-mail : info@kamesan-kyodo.com
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